SSブログ

ついに出産?その1 [その他]

・・・前回のつづき・・・

分娩台にあおむけになっていた妻は
僕が予想しているよりもはるかに落ち着いた雰囲気でいた。
「女は強。。」そう心でつぶやいた
何をどうしてよいのやらまったくわからず扉の前であたふたしていた
僕を見かねて助産師さんはこう言った
「旦那さん大丈夫ですよ。こっちにきてても。」
「あああ。は。はい」
何もできない自分がここにいる。
さらに
この場に立ち会えるのか?
そんな不安もふつふつとわきだしている。
「ご主人。気分が悪くなったり気持ち悪くなったらすぐに言ってくださいね。」
『え!!まじか』
僕は全くの未知の出来事にすごくグロテスクな想像をした。
出産シーンを映像で見たことはあるが生で見るのは初めてだ。
いくら生命の誕生の瞬間と言っても
見た目はいいものではないのは容易に想像がつく。
しかしここから引き返すわけにはいかない。
もし引き返したら妻に何を言われるか。。
いや、一生今日のことを言われ続けることになるだろう。。
決意を新たに妻の頭の上に位置をとった。
「う~う~い。。痛いです。。」
妻の声が分娩室に広がる。
「大丈夫だよ。がんばれ!」
そう妻に言い聞かせ妻の肩に手を置いた。
「さぁそろそろ来るかなぁ」
若い助産師さんがそう言い放つと
周囲が俄然あわただしくなった。
まるで何かの試合開始の合図のようだ。
「いいんだよ。そうそう。痛いのはいいの。いいのよ~。」
そういいながら助産師さんは妻の下位にポジションをとり
ついに何かを始めた。。
僕は完全にサポータだ。。
「旦那さんいい。奥さんが力入れたら。軽く肩抑えててあげてよ。」
ベテラン看護師さんが僕の横からそう言い放った。
「はっ。。はい。」
どうしていいかわからない僕の姿が完全に伝わっていたようだ。
「○○さんなになに用意して」
あわただしくなった部屋に助産師さんの声が響く。
「ふっふっはーっ」
目の前では妻の痛々しい息遣いが耳に入ってくる。
「○○さん先生呼んできて!」
期待と不安の入り混じった中
ついに出産の立ち合いが始まった。
「ふっふっは~は~。うぐ痛い痛いぃ~」
苦しい妻の声
「来たねぇ~。そうそうそれでいいのよ~」
嬉しそうな若い助産師さん。
「はい旦那さん、ちゃんと肩おさえててあげてねぇ」
余裕なベテラン看護師さん
「。。。。。。。。。。。。。。」

今まで生きて来てこんなに人が苦しんで声を出している姿を見たことがない。
僕の頭のなかでは不思議と今までの
妻との思いでが浮かんできた。
彼女と知り合り時を重ね結婚した。
苦労も掛けてきた。
喜ぶ顔が愛おしくて。
二人でいろいろ出かけてまだまだ
いろいろしてあげたいしさせてあげたい。
目の前で苦しんでいるのは紛れもない僕の妻だ。
そしてこれから新しい命を産もうとしている。
胸が熱くなった。
「今までありがとう。そしてこれからもよろしく。」
これから産まれてくる命になんて声を掛けよう。
妻になんて声を掛けよう。。
「ありがとう。」
「ありがとう。。」
それしか浮かばなかった。。
「はい旦那さん。そこにある飲み物たまに奥さんにあげてね。」
僕はふと我に返った。。
「はい。」
なんだろう不思議とこの場にいることの
喜びが大きくなってきた。
不安や恐怖という気持ちが
すーーーっと薄く消え初めている。。
初めて時計をみた。
ここに入ってどのくらいがたつのだろう?
おそらく15分もたってはいないのだろうけど。。。
時間を計算する余裕も出てきた。
ん?すでに30分ここにいた。。
「お水ちょうだい。」
妻がカラカラの声でそう言ってきた。
「ん?あっ。はい。」
妻のその一言で離れていた僕の意識が呼び戻された。
「うー。。痛い痛いよぉ~」
また痛みが襲ってきているようだ。
僕はただ見守ることしかできない。
「がんばれ!」
先生が慌てて部屋に入ってきた。
「そう!そうだよ!う~って叫んで。叫んで。」
ずいぶんと元気な体操のお兄さんのような話し方に
なんだか安堵感がわいた。

つづく



芸能人がおすすめするサラツヤ髪で女子力UP
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

陣痛から出産へ3ついに出産?その2 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。